「全てのビジネスは顧客へのサービスだ。」

– THIS IS SERVICE DESIGN THINKING

本質的な本帯のメッセージではじまる、THIS IS SERVICE DESIGN THINKING。一昨年に翻訳書が発売され、僕のサービスデザインへの興味関心も一気に高まりました。

サービスデザインとは、解りやすく言うと、

 1.探求:(想定)利用顧客の問題を知ること。

 2.設計:問題→解決の手段を構築すること。

 3.再構成:1~2の妥当性を検証すること。

 4.実施:ビジネスモデルとして整理すること。

を目的とした、体系化された思考法です。

サービスデザインに取り組む上でとくに重要だと感じるのは、利用顧客のみならず、作り手やサポーター、オペレーターなどすべての利害関係者を巻き込む、共創(Co-creation)という姿勢です。

従来のような”顧客のためにどうしたらサービスの価値を伝えられるか”というマーケティングの視点から一方的に顧客への提供価値を考えるのではなく、サービスデザインというプロセスを通じて、 “顧客が実際にかかえている問題から、自分たちの提供価値をさだめて、検証する”ので、顧客とプロダクト/サービス提供者を適切にむすぶ事業の構築が可能になります。

機能では差別化できない時代

こういったアプローチが生まれた背景は、時代背景として大きく2つあると思います。

ひとつは機能過多と利用シーンの変化

現状スマホアプリ、デジタルカメラなどその業界が出すプロダクト・サービスは、どれも似たような機能を内包しており、機能軸でみるとプロダクトに差がつきにくくなっています。

スクリーンショット 2015-04-26 18.02.26

例えばGoProは、初期段階でサーフィンをするユーザを想定し、エクストリームスポーツの撮影に特化したプロダクトという形を維持して、他のカメラにあるような機能を消して想定顧客の課題に答えました。

GoProは後に既存のカメラ産業のシェアを年々拡大して、後にアクションカメラという分野の中で高い地位を獲得しています。

 

もうひとつは、顧客の変化

スクリーンショット 2015-04-26 18.11.46

最近ではAppleWatchが販売されたニュースや口コミが飛び交っていますが、言うまでもなく顧客たちはスマートフォンを使い、いつ・どこでもインターネットに接続して、自身にあわせた体験価値を手に入れられる時代になっています。

これらの現象から学べることは、プロダクト/サービスがもつ”機能”の充実ではなく、顧客の利用シーンで発見できる問題を解決するという考え方が、ビジネスにおける差別化要因になっているということです。

 

アイデアを検証するためのプロダクト/サービスでは事業リスクが大きい

顧客の問題を解決するための、プロダクトやサービスの妥当性を検証するには、大半が「プロダクトやサービスを実際に作ってみる(出してみる)」と答えると思います。

 

しかし、本当に”作ってみない”と判らないものなのか?

スクリーンショット 2015-04-26 19.56.48

 

キャッシュ/時間/リソースが潤沢にあるのであれば問題なく作れる話かもしれない。仮にも、そのサービスが顧客の体験に響かなかったとしたら、今までそこに時間を割いていた関係者全ての資源は、すべて無駄になってしまう。

特にスタートアップ・経営資源を借りて起こす新規事業などにおいても、経営資源の”無駄”を避けるためには、サービスデザインという思考プロセスに投資し、図下のようなプロダクト/サービスを出す前段階からアイデアの妥当性を検証することをお薦めしたい。言うまでもなく、サービスデザイン型のように時間を使う方が、(もちろん完成まで時間を要するが)、つくるものが顧客へマッチする度合いは格段に上がる。

 

サービスデザインツールを活用し、共通認識をつくっていくのが大切

スクリーンショット 2015-04-26 21.10.19

ツールは様々あり、細かい説明は書籍などをみていただきたいのですが、実際に課題→解決が正しいかどうかを検証するために、サービスが使われる流れを想定するストーリーボードや、顧客を定義するプラグマティックペルソナ、実際の利用者を深くヒアリングして課題を発見するデプスインタビューであったり、製品に近い利用体験を与えるプロトタイプやコンセプトビデオなどの様々なアプローチがあります。なかでも、ビジネスとしてのポテンシャルをはかるために、ビジネスモデルキャンバス(リーンキャンバス)を軸に検証を進めるのが事業設計家としては合理的だと思われます。

 

ただ、サービスを“新規に立ち上げる”“運用改善する”などフェーズによって組み合わせ方が異なりますので、これらのツールを活用する際には、

・目的を明確にすること

・情報の視覚化をすること

をおこなって、ステークホルダー間で事実を積み上げて共通理解を得ることが大切です。最近わかったのは、視覚化することの意義は関係者の理解はもちろんのこと、後に加わるスタッフたちがサービスを理解するための、道具にもなりえるという点です。

 

銀の弾丸になりうる特効薬はない

サービスデザインの考え方や素晴らしさを綴ったものの、成功するビジネスを構築する魔法のような特効薬ではないという事は改めて注意いただきたいですが、サービスデザインプロセスを通じて、顧客の現象を適切に捉えて、得られた事実を積み上げて、サービス開発へ役立てれば、必ずや人に響くサービスを届けられるはずです。

僕もデザイナーなのでそれを信じて問題解決をしていくと同時に、若い世代のデザイナーたちが、サービスデザインを活用して、多くの人とってより良い体験を生み出せるようなツールや環境をデザインしていきたいです。